呼吸器・免疫内科

抗がん剤療法や分子標的薬

肺がんについて

肺がんの治療方針を決定するには進行度と組織型が重要です。

まず進行度について、肺がんは悪性疾患ですので浸潤、播種、転移する性質があり、その程度により進行度がきまります。具体的には進行度を決定するために画像検査が必要になります。(可能であれば造影剤を用いた)胸腹部CT、造影頭部MRI、骨シンチでおおよそ決定されますが、最近では当院にその設備はありませんがPET-CTを用いることもあります。それらの検査でがんの大きさ・浸潤の程度(T因子といいます)やリンパ節転移の程度(N因子)、遠隔臓器への転移の程度(M因子)を決定してⅠ期からⅣ期に分類して治療法を決定します。

続いて組織型について、肺がんの組織型は大きく4つに分けられます。それぞれ腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん、小細胞がんです。発症頻度はおおよそ腺がんが50-60%、扁平上皮がんが20-30%、小細胞がんが15%、大細胞がんその他が5%ほどです。肺がんの発症原因として喫煙は重要な要素で、扁平上皮がんと小細胞がんのほとんどは喫煙者もしくは以前の重喫煙者ですが、腺がんは非喫煙者にも発症することがあります。

従来は小細胞がん以外の3つのがん腫を非小細胞肺がんとひとつにまとめて治療方法を決定していましたが、最近は腺がんには効くけど扁平上皮がんには効かない薬剤も出てきたため細かく分けることもありますし、さらにがん腫によっては特徴的な遺伝子情報によってより効果の高い個別化した治療法も一部確立されてきています。したがいまして気管支鏡などでしっかりとしたがんの検体を採取する必要があります。

治療につきましては組織型の小細胞がんと小細胞がん以外の非小細胞がんによって治療方針がことなります。小細胞がんは進行が非常に早く症状が出たときにはすでにⅢ期もしくはⅣ期で発見されることが多いです。放置すると発症して半年で命を落とすことも少なくありません。しかしこのがん腫は抗がん剤と放射線療法がよく効きます。従いまして治療方針はⅠ期であれば手術も考慮されますが、Ⅱ期、Ⅲ期では年齢や全身状態にもよりますが化学療法と放射線治療の組み合わせとなり、Ⅳ期では化学療法となります。化学療法をすると9割程度の確率でがんの大きさが半分以下になります。最も進行が早いがん腫ですので、一旦は奏功しますが、時間の経過とともに再発することが少なくなく、その辺が今後の治療の問題点であるといえます。

それに対して非小細胞がんの進行は小細胞がんに比べると緩徐ですが、胃がんなどの他のがん腫よりも一般的には進行が早いです。治療方針はⅠ期では手術単独もしくは手術してその後抗がん剤の内服、Ⅱ期とⅢ期の一部は手術してその後抗がん剤の点滴治療、Ⅲ期の一部は放射線と化学療法の組み合わせ、Ⅲ期の一部とⅣ期は抗がん剤の治療になります。Ⅲ期の治療方針がいろいろあると感じられますが、Ⅲ期の治療方針の決定は難しい事が多く、確立されているとはいえない状況です。また抗がん剤の治療効果は最近徐々に上がってきましたが、それでもがんの大きさが半分以下になるのは30-40%程度ですので、手術をしないと治癒するのは難しいというのが現状です。

また先ほど特徴的な遺伝子情報によってより効果の高い個別化した治療法も一部確立されていると述べましたが、PCR法といって遺伝子増幅検査でEGFRという受容体に特定の変異が見られた場合は、イレッサやタルセバといったEGFR-TKIと呼ばれる内服薬が劇的に効果をもたらす場合があります。このEGFRの変異はアジア人に多いといわれ、ほとんどが腺がんであります。非喫煙者の腺がんに多いとされ約70%がそうであるといわれています。喫煙者の腺がんでは10-20%程度にみられますので、腺がんと診断された際には保険でも認められているPCR法でのEGFR変異の有無を検査する必要があります。

EGFRの変異以外にも自治医科大学の間野教授が発見されたEML-ALKの変異が認められる場合があり(若年で非喫煙者の腺がんに多いといわれています)、それに対しても特効薬がもうしばらくして発売される見通しとなっており(平成23年12月現在)、今後こういったがん腫に応じた個別化医療がますます増えて、治療効果の向上が期待されています。


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